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日本では花見の歴史が1000年以上にわたります。花見の始まりには二つの要因があります。一つは、貴族たちが花見を好み、儀式として楽しんだことです。花見は貴族から武士、そして庶民へと広まりました。もう一つは、豊作を祈る祭りとして行われたことです。日本は農耕社会であり、農作物の収穫を掌る神がいると信じられ、浅間神社に祀られている木花咲耶姫がその一例です。農民は桜の開花時期を基準に田植えを行いました。
日本で最初に花見が始まったのは、奈良時代(710-794年)で、当時は梅の花を観賞する習慣が中国から伝わりました。平安時代になると、桜の花が主流になりました。≪日本後記≫には嵯峨天皇が桜を見る会を催した記述があります。その後、武士階級にも花見が広まり、豊臣秀吉が吉野山で催した花見大会が有名です。
江戸時代(1603-1868年)には、桜の品種改良が進み、吉野染井などが登場しました。花見は庶民にも広がり、祭りや宴会として楽しむようになりました。
日本の桜の種類
現在、日本には10種類以上の野生の桜があり、代表的なものには江戸桜、霞桜、彼岸大島桜、大山桜、高嶺桜、豆桜、山桜、熊野桜、深山桜、丁字桜などがあります。これらの野生桜は地域や環境により異なり、花の色や大きさ、樹形、葉の色などが違います。野生桜を交配し、接ぎ木することで現在では200種類以上の園芸品種が存在します。
代表的な桜の品種には「吉野染井桜」や「河津桜」があり、これらも交配によって生まれたものです。特に「吉野染井桜」は、日本全国で広く栽培されています。
開花日と満開日
花見シーズンには、日本気象協会が発表する桜の開花情報に基づいて、旅行計画が立てられます。開花日は標本木に5〜6輪の花が咲いた日とされ、満開日は80%の花が咲いた日です。桜の花期は短く、開花から散るまで約10日ほどです。
東京で人気の花見スポット
上野恩賜公園
上野恩賜公園は、東京で最も有名な花見スポットの一つです。400年以上の歴史を持ち、約1200本の桜があります。毎年桜祭りが開催され、国内外から多くの観光客が訪れます。
- 交通: JR・東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」から徒歩2分。京成線「京成上野駅」から徒歩1分。
千鳥ヶ淵
千鳥ヶ淵の桜は、皇居の西側に位置し、約130本の桜が植えられています。ここでは、染井吉野や大島桜が楽しめます。両岸に咲く桜と水面に浮かぶボートが見どころです。
- 交通: 東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」5号出口から徒歩5分。または「九段下駅」2号出口から徒歩5分。
隅田公園
隅田公園には約510本の桜があり、最も古いものは江戸時代に第八代将軍徳川吉宗によって植えられました。公園内の桜と東京スカイツリーの組み合わせが美しい風景を作り出しています。
- 交通: 東武鉄道・東京メトロ・都営地下鉄「浅草駅」4号出口から徒歩5分。都営地下鉄「本所吾妻橋駅」から徒歩7分。
東京タワー周辺の増上寺と芝公園
東京タワーと増上寺、芝公園周辺には、多くの桜が咲き誇ります。増上寺は1393年に建立され、芝公園は日本最古の公園の一つです。
- 増上寺参拝時間: 6:00〜17:00
- 交通: 都営地下鉄「御成門駅」A1出口から徒歩5分。
目黒川沿岸
目黒川沿岸の桜は、1927年から植えられたもので、約830本の桜が約4kmにわたって咲き誇ります。
- 交通: 東京メトロ日比谷線・東急東横線「中目黒駅」から徒歩1分。JR山手線・都営三田線「目黒駅」から徒歩5分。
花見の注意事項
- 樹木を傷つけないように、枝を折らない。
- 飲み物やアルコールを木の根元にかけない。
- ゴミは指定された場所に捨てる。
- 公共のマナーを守る。
日本の花見は、歴史と文化に根ざした美しい行事です。花見の際には、自然を大切にし、美しい景色を楽しんでください。